ジャム作り
透明なビンに納まった
赤、黄色、青むらさきのジャムたち。
55人のきょうだいで作った手作りの
甘いジャムは棚に並べられて、
一つひとつラベルが付けられました。
アンズ、野いちご、桑の実のジャム。
寒い雪の日、ユメコのおうちの中は
あったかく、
いつまでも甘いにおいに
包まれていました。
白い綿の ようなゆげが、
煙突からゆっくりと
空に広がって消えていきました。
砂遊び
ユメコと54人のきょうだいは
砂遊びが大好きで、
時間を忘れてトンネルを掘ったり、
王さまの気分でお城を
作ったりしています。
飽きてきたら、落とし穴や砂かけっこで、
せっかく作った橋やトンネル、 お城は
もとの砂になるのです。
心のそこから 笑って、はしゃいで、
体中が砂にまみれて一日が過ぎました。
ユメコはその夜、お布団に入って、
夢の中ではもちろん、
お城の中のお姫様でした。
みんなくたくたに疲れていたので、
夢など見れないほどぐっすり眠りました。
寝相など気にも留めないで。
トラのお絵かき
手を広げたくらいの広い紙に、
ユメコはトラの絵を描いています。
かわいいそのトラは子猫
のように小さくて、
竹の林の中でいちごを 食べているのです。
一人のお兄ちゃんが、
「ユメコ、そのトラのお兄ちゃんも
描いてほしいな。」
もう一人のお兄ちゃんは
「今日を『トラの日』にして、
ぼくたちトラに なるんだ」
と言い出しました。
もうすぐ 夕飯なのに、
みんな 楽しい事には すぐ、
集まって 来ます。
部屋の中をかけまわったら、
ユメコのトラを描いた絵が
グシャグシャになったけど、
ユメコは気にしません。
みんなも、トラに変身することで
頭がいっぱいです。
「ガオー。」
しばらくしてあちこちから
トラの鳴き声が聞こえてきました。
黄色、みどり、赤。これは トラの体の色。
ユメコの絵から 抜け出たような
かわいいトラたちがあらわれました。
『ガオー、ガオー。ご飯が
食べたいよウ。」
って 言ういはじめました。
そして、おはしやスプーンを
カチャカチャ 鳴らして
「ガオー、ガオー。」
こうしてユメコのおうちの一日が
過ぎて行くのです。
夕食はどうなったのかしら。